大量発生の犯人はナミテントウという種類
家の中に大量発生するテントウムシ。その光景を前に、多くの人が「昔はこんなことなかったのに」と首をかしげます。実は、その感覚は正しく、この問題の主な原因となっているのは、日本に古くからいる在来種ではなく、「ナミテントウ」という、時に外来種として扱われることもある、非常に繁殖力の強い種類なのです。私たちが「テントウムシ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、おそらく、赤い体に七つの黒い点を持つ「ナナホシテントウ」でしょう。彼らは、日本の生態系に古くから存在する在来種で、性格も比較的おとなしく、集団で越冬する際も、それほど大きな群れを作ることはありません。一方、問題の「ナミテントウ」は、同じテントウムシの仲間でありながら、その性質は大きく異なります。彼らの最大の特徴は、その模様の多様性です。赤い体に黒い斑点を持つものから、黒い体に赤い斑点を持つものまで、非常に多くのバリエーションが存在します。そして、ナナホシテントウに比べて、より攻撃的で、繁殖力も非常に強いことが知られています。このナミテントウこそが、越冬のために、時に数百、数千という信じられないほどの巨大な集団を形成し、人家に押し寄せてくる張本人なのです。彼らは、わずかな隙間から家屋に侵入し、壁の中や屋根裏などで巨大な越冬集団を作ります。そして、春になると、その集団が一斉に活動を開始し、家の中から屋外へと出ていこうとするため、再び私たちの目に触れることになるのです。もし、あなたの家でテントウムシが大量発生し、その中に黒地に赤い斑点を持つような、見慣れない模様の個体が混じっていたら、それは間違いなく、この繁殖力の強いナミテントウの仕業だと考えて良いでしょう。