近年、地球温暖化の影響により、蜂の活動時期に明らかな変化が見られるようになっています。以前であれば、蜂の活動は四月下旬から始まり、十一月の初めには終わるというのが一般的な定説でしたが、最新の観測データやフィールド調査の結果からは、その期間が前後へと拡大している傾向が浮き彫りになっています。まず、春の活動開始時期が早まっています。暖冬の影響で土の中や朽ち木の中の温度が上がると、女王蜂が予定よりも早く冬眠から目覚めてしまいます。三月の終わりにはすでに巣作りを開始する個体も確認されており、これは以前の常識よりも二週間から三週間ほど早いペースです。活動開始が早まるということは、それだけ働き蜂が増える期間も長くなり、夏から秋にかけての巣の規模が例年以上に巨大化することを意味します。また、夏の猛暑も蜂の活動に複雑な影響を与えています。あまりに気温が高すぎると、蜂も人間と同様に活動を抑制することがありますが、一方で熱帯夜が続くことで、夜間の蜂の代謝が維持され、巣の拡大が夜通し進むケースも見られます。特に都市部ではヒートアイランド現象により、蜂の活動時期がより長期化する傾向にあります。そして最も顕著な変化は、秋の活動終了時期の遅れです。十月、十一月になっても気温が下がらないため、本来であれば寿命を迎えるはずの働き蜂が生き残り、攻撃性を保ったまま十二月の初めまで活動を続ける例が増えています。これは、晩秋の行楽シーズンにおける刺傷事故のリスクを著しく高める要因となっており、従来の蜂の活動時期のイメージをアップデートする必要があります。さらに、気温の上昇は蜂の分布域にも変化をもたらしています。以前は寒冷地で活動時期が短かった種類の蜂が、より北の地域まで勢力を広げ、そこで長期間活動するようになっています。このような蜂の活動時期の変動は、私たちの生活における防除対策のあり方にも再考を迫っています。春の予防処置をより前倒しで行うことや、秋の終わりまで警戒を怠らないこと、そして地域の気温変化に合わせた個別の対策を立てることが、これからの時代には求められます。気候変動は目に見えにくいものですが、蜂という生物の活動時期の変化を通じて、私たちは確実に変わりつつある自然環境のリアリティを突きつけられているのです。