体長1センチにも満たない小さな虫、アオバアリガタハネカクシ、通称「やけど虫」。その被害を避けるためには、まず敵の姿を正しく認識することが重要です。しかし、私たちの周りには、やけど虫とよく似た姿をした、無害な虫も数多く存在します。パニックになって、すべての小さな虫を恐れる必要はありません。やけど虫と、間違いやすい他の虫との、見分け方のポイントを解説します。まず、最も大きな特徴は、その「体色」です。やけど虫は、頭部が黒、胸部が鮮やかなオレンジ色(橙赤色)、そして腹部が黒とオレンジの縞模様という、非常に特徴的でカラフルな配色をしています。この「頭が黒、胸がオレンジ」という組み合わせが、最大の識別ポイントです。体型は、その名の通り、羽のあるアリ(ハネアリ)に似ており、細長い形状をしています。よく間違えられるのが、一般的な「アリガタハネカクシ」の仲間です。ハネカクシ科の昆虫は、日本に数千種も存在し、その多くは、やけど虫と同じように細長い体型をしています。しかし、そのほとんどは、体全体が黒や褐色一色であり、やけど虫のような鮮やかなオレンジ色を持っているものは稀です。もし、家の中でアリのような形の、黒っぽい虫を見つけても、オレンジ色でなければ、それは無害なハネカクシである可能性が高いです。また、「シバンムシ」や「キクイムシ」といった、家屋の木材や乾物を食べる、茶色っぽい小さな甲虫とも間違われることがあります。しかし、これらの虫は、やけど虫のような細長い体型ではなく、より丸みを帯びた、コガネムシを小さくしたような形をしています。そして、最も重要なのは、やけど虫は、他の多くの昆虫と異なり、危険を察知すると、腹部の先端をサソリのように持ち上げる、威嚇のポーズをとることがあります。この独特の仕草も、見分けるための大きなヒントとなります。色、形、そして行動。これらの特徴を総合的に観察し、冷静に敵の正体を見極めることが、適切な対処への第一歩です-。
やけど虫と間違いやすい虫、その見分け方