家に蜂が侵入してきたものの、肝心の殺虫剤が見当たらない。そんな絶望的な状況でも、諦める必要はありません。私たちの身の回りにある、いくつかの日用品が、緊急時の蜂対策として、意外な効果を発揮することがあります。ただし、これらの方法は、相手が比較的おとなしいミツバチやアシナガバチで、かつ、壁などに止まって動きが静止している場合に限られます。スズメバチ相手に試すのは、絶対にやめてください。まず、最も手軽で効果的なのが「ヘアスプレー」です。特に、セット力の強いハードタイプのスプレーが有効です。ヘアスプレーに含まれる樹脂成分が、蜂の羽や体を固めてしまい、飛ぶ能力を奪います。数秒間、集中的に吹きかければ、蜂は羽を動かせなくなり、床に落ちます。動かなくなったところに、さらにスプレーをかけて、完全に動きを封じましょう。次に、食器用洗剤も、ゴキブリ退治と同様に、蜂に対しても効果が期待できます。洗剤に含まれる界面活性剤が、蜂の呼吸器である気門を塞ぎ、窒息させるのです。スプレーボトルに水と洗剤を数滴入れてよく混ぜ、それを蜂に向かって吹きかけます。ただし、蜂はゴキブリよりも体が頑丈で、体毛が水を弾くため、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。根気強く、何度も吹きかける必要があります。これらの液体がない場合、最終手段として「掃除機で吸い込む」という方法も考えられますが、これはリスクを伴います。蜂は掃除機の中で死ぬとは限らず、排気口から出てきたり、後でゴミを捨てる際に攻撃されたりする危険性があります。もし吸い込む場合は、ノズルの先端をガムテープなどで塞ぎ、掃除機の中に殺虫剤を少量吸い込ませてから、数時間放置し、中の蜂が完全に死んだことを確認してから、ゴミ袋を厳重に縛って捨てる、といった細心の注意が必要です。どの方法も、あくまで緊急避難的な対処法です。最も安全なのは、やはり蜂専用の殺虫剤を常備しておくこと、そして、危険を感じたら無理せず、プロに助けを求めることです。