やけど虫による皮膚炎の症状を最小限に抑えるためには、虫の体液が皮膚に付着した直後の「応急処置」が何よりも重要です。パニックにならず、冷静に、そして迅速に行動することで、その後の症状の悪化を大きく防ぐことができます。まず、絶対にやってはいけないのが「患部を手でこする」ことです。虫を潰してしまったり、体液が付着したと感じたりした時、私たちは反射的にその部分をこすったり、掻きむしったりしてしまいがちです。しかし、この行為は、毒液をより広範囲に塗り広げてしまう最悪の行動です。痒みや痛みを感じても、決して患部には直接触れないように、強く意識してください。行うべき応急処置の基本は、ただ一つ。「大量の流水で、優しく洗い流す」ことです。石鹸やボディソープをよく泡立て、その泡で患部を包み込むようにしながら、シャワーなどの流水で、最低でも数分間、丁寧に洗い流します。この時も、ゴシゴシと強くこするのは禁物です。泡のクッションで、毒素を皮膚から浮かび上がらせ、水で流し去るというイメージです。もし、水ぶくれができてしまった場合も、絶対に自分で潰してはいけません。水ぶくれの中の液体にも毒素が含まれている可能性があり、それを潰すことで、周囲の健康な皮膚に被害が広がってしまう「とびひ」のような状態になることがあります。また、民間療法として噂されるアンモニア水などを塗る行為も、皮膚への刺激が強すぎるため避けるべきです。応急処置が終わったら、できるだけ早く皮膚科を受診するのが最も賢明な判断です。医師は、炎症を抑えるためのステロイド外用薬や、細菌による二次感染を防ぐための抗生物質などを処方してくれます。特に、症状が広範囲に及んでいる場合や、顔や首など、目立つ場所に被害を受けた場合は、跡を残さないためにも、必ず専門医の診断を仰ぐようにしましょう。
やけど虫に触れてしまった時の絶対的応急処置