恐ろしい皮膚炎を引き起こすやけど虫ですが、彼らの生態と、遭遇しやすい場所や時期を知っておくことは、被害を未然に防ぐための第一歩となります。やけど虫、アオバアリガタハネカクシは、日本全国の、水田や畑、湿った草地といった、湿度の高い環境に広く生息しています。彼らは、稲の害虫であるウンカなどを捕食してくれる益虫としての一面も持っています。そのため、特に田植えが終わった初夏から、稲刈りが始まる秋にかけて、水田の周辺でその個体数が急増します。活動が最も活発になるのは、気温と湿度が高くなる6月から9月の、夏の時期です。この時期、彼らは夜になると、光に集まる習性(走光性)を持っています。そのため、夜間に照明がついている建物、特に、周囲に水田や草地が広がる地域の一戸建てや、マンションの低層階などは、やけど虫が室内に侵入しやすい、非常に危険な環境となります。網戸の小さな隙間や、ドアの開閉時、あるいは洗濯物などに付着して、私たちの生活空間へと巧みに侵入してくるのです。室内では、照明の周りを飛んでいたり、天井や壁を歩いていたりします。そして、就寝中に、無意識のうちに首や腕で潰してしまい、翌朝、症状に気づくというケースも少なくありません。また、日中の屋外活動でも注意が必要です。公園の草むらや、河川敷、キャンプ場など、湿った地面がある場所での活動中、衣服に付着することもあります。夏の夜、光煌々と輝く私たちの家は、やけど虫にとって、抗いがたい魅力を持つ灯台のように見えているのかもしれません。彼らの活動時期と好む環境を頭に入れ、夏場の夜は特に警戒を怠らないことが、被害を防ぐための鍵となります。